少しのネタバレを含みます。


















手紙が来た。
ひらひらと手に持った手紙をレミーは眺める。
どこの誰かさえもわからない男に酒場で声をかけられて、
手渡された差出人さえも書いてない手紙。
美しい白い封筒は、本当にまっさらで、手がかりさえも見つけられはしない。
ただ、建国時代の遺跡を回る自分を探し出して手紙を送りつけてくる事と、
自分の評判をあわせて考えれば、ろくでもないことには間違いないだろう。
さて、何が出てきてくれるのか。
もっとも今の状態では、あまり厄介なことに関ってはいられないが。
後ろ頭をカラスに突かれながら、興味本位で手紙の封を開けたレミーの目が、
内容を目にした瞬間丸く開かれる。
『待っています』
ただ一文それだけが書かれた、普通ならば意味のわからない、手紙。
だがレミーに差出人と、その意図を知らせるには十分だった。
「……伝言は届いたみたいだね。」
彼らしからぬ、懐かしみと愛慕を含んだ声に驚いたのか
知恵を持つカラスの攻撃がやんだ。
そしてそれに気が付かないほど、手紙に意識を注ぎ込んでいる彼は
そっと手の中の愛しい人からの言葉に口付けを落とした。














誰だこれ。