ターブルロンド王国王女フィーリアは、実に優雅な物腰で羽ペンをインクにつけると
上等な羊皮紙にすばやく筆を走らせた。
誤字脱字がないことと、内容を確認して、フィーリアは鷹揚に一つ頷く。
今書いたのは、自分の治める領地のこれからの政策。
今までの平凡な何の発展もなく同じところに停滞させるようなものではない、
真実支配者としてふさわしい、より高みを目指した最善最良の政策だ。
「まさか小娘と侮っている人間が、こんなことできるとは思っていないでしょうけど。」
自分付きの執務官のヴィンフリートの策だと思うかしらと、自分を侮りまくっている
宰相の髭面を脳裏に思い描く。
想像の中のその顔は苦虫を噛み潰しきった非常に苦々しい顔をしていて、フィーリアは少し口元を緩める
本当は表舞台に立つ気などなかったのだ。
優秀な兄が居た。
国を任せられる、良き賢王となるであろう兄が。
だから争いの種にならぬよう、世間知らずの何も知らないような王女をやってきたのだ。
真実を知るほんの少しの人間以外に、侮られ、舐められ、見下され、軽視されても常に。
だがしかし、それが仇になるのなら。
王家の人間ではない、何処の馬の骨とも知らぬ出自の男に王座を狙わせる原因になるというのなら。
自分はその仮面を捨て去り踏みにじる。
「ディクトール。一年後には貴方を私の前に跪かせる。」
見ていろ、眠れる獅子を目覚めさせた対価はその身で払ってもらおう。
人間椅子ゲーム(違)
王女×宰相 違うか? 王女+宰相? いややっぱり王女×宰相
発売前フライングss
………こういうお嬢さんをお望みです。
でもきっと夢を見すぎているので、発売したら多分消去します
「ディクトール、殺しはしませんよ。」
貴方はとっても有能ですから。本当に才は身を助けますよねぇ。
一年前のあの春の日差しのような笑みとはまるで別物の、獰猛な肉食の獣の笑みを浮かべて新王は笑う。
「だから、選ばせてあげましょう。忠誠を私に誓い、膝をつくか。」
それとも
「自分で死を選ぶか。」
大振りのナイフが足元に投げ捨てられた。
目線をあげて王を見ると、一つゆっくりと瞬きをした後、昔に戻ったかのように柔らかな笑みを浮かべる。
もう一度床に視線を落とす。
ナイフは白銀の光に眩くきらめいている。
ディクトールは小さく息を吐くと、王者の前に跪いた。
「貴方に忠誠を、フィーリア陛下。」
彼女の支配するこの国は、自分が支配する国よりもきっと良き国になるだろうと、
床を見ながらディクトールは、そう思った。
王女×宰相
えーと、だからそんなに髭が私は好きなのかと。
恋愛のれの字も出てこない、そんな発売前ssありなのかとも