「伝説の英雄?連綿と受け継いだ聖なる血筋?くだらん!!
王家に生まれたというだけで愚昧な者でも王になれる…そんな時代は終ったのだ。
国を治める者に必要なのは、ただ実力のみ。 」
さあ譲り渡せと差し出された手のひら。
望まれるのはただ、王の椅子。
そこにぽんっと椅子を置いてしまえば、楽になれることをフィーリアは知っている。
大半の人間は、フィーリアがそうする事を望んでいるのも知っている。
だけれど、フィーリアはそこに椅子を置かない。
―だってディクトール
フィーリアは声ならぬ声を飲み込む。
宰相であるうちは、身内に優しくしたって良いでしょう。
あなたの言う愚昧なものを匿えもするでしょう。
だけど王になったならば、それすらも出来なくなってしまうのよ。
おうさまはいけにえのひつじ
せんのうちならいくらやさしくしたってかまわないけど
それをこえるようなまねはぜったいにできないあやつりにんぎょう
それ故に、王子が行方不明になったときとて、王は探索を途中で打ち切ったのだ。
……王子のために使える予算の限度が来たから。
(あなた、身内には優しくしたいんでしょう?
誰も何も信じられなくなっても、身内には優しくしたいんでしょう?)
冷徹冷酷人間不信で非常な男
皆に噂される宰相が、身内の前でだけ見せる顔を
アストラッドと親しいフィーリアはほんの少しだけ知っている。
だからフィーリアはそこに椅子を置かない。
絶対に、置かない。
宰相←王女、かな?CMボイス萌えss
しがらみが多くて、なるようなもんじゃないのが王様だと思っています。
むしろ王族って不幸みたいな。